【今日の1枚】Fábio Leal / Fábio Leal
以前、エルメートのお気に入りの一枚を紹介したのだが、この記事のアクセス数が伸びている。Bossa Nova以外のブラジル音楽が世界で聴かれるのは非常に嬉しい。
まだ読んでない方はこちら→【今日の1枚】Festa dos Deuses / Hermeto Pascoal e Grupo
最近はブラジル音楽専門レコード店やインターネットのおかげもあり、ブラジル音楽はより身近になりつつあるが、まだまだ日本で紹介されていないCDが沢山あるので、少しずつ私のお気に入りのアルバムを紹介していきたい。
私が特に好きなのは、自分が通っている音楽院をとりまく音楽事情なので、所謂エルメートファミリーやサンパウロのインスト事情が多くなるかもしれないが、最近はブラジル南部やペルー、アルゼンチンなどにも興味があるので、そちらにも触れていければと思っている。では、今日の一枚はこちら。
Fábio Leal / Fábio Leal (2009)
Fábio Leal - Guitar
Fi Maróstica - Eletric Bass
André Grella - Eletric Piano
Paulo Almeida - Drums
Fábio Lealはサンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポ出身のギタリスト、作曲/編曲家。たまにガットギターやベース、カヴァキーニョも奏者としてライヴ出演していることも。
14歳でギターを手にした際は、独学で新しいコードを見つける度にウキウキしていたそう。Universidade Livre de Música Tom JobimとConservatório de Tatuíにてギターを学び、現在はサンパウロを中心に活躍中。また、Conservatório de Tatuí(以後タトゥイ音楽院を記す)のギター/アンサンブル/和声の講師として教鞭にも立っている。
そう、私たちの先生で愛称はFabinho。学校でも超人気で、未だかつてこんなに生徒に人気のある先生はみたことがない。
実際に、私の音楽人生においても一番影響を与えてくれた恩師である。(追記:2018年をもってConservatório de Tatuíの講師を辞任)
多忙なFabinhoは、夜中にギターを練習するのが至福の時間だとか。
多忙なFabinhoは、夜中にギターを練習するのが至福の時間だとか。
また本を読んだり、いろんな音楽を聴くのも好きで、クラシックや民族音楽にも非常に詳しい。更には大の映画好きでもあり、私も観た事ないような日本の映画もしっている。プライベートな話をすると、一見無口そうだが、人と話すのが大好きで、タトゥイのバーに現れると、常に沢山の生徒たちに囲まれ、朝まで意見を交換したり、そのへんにあるギターを手にとってサンバを弾き始めたりと非常に社交的である。
これまでに Hermeto Pascoal, Toninho Horta, André Marques, Arismar do Espírito Santo, Trio Correnteなど多数のミュージシャンと共演。最近はエレキギターと弦楽トリオにピアノという異色のキンテットBrazú Quintêでも活動中。
アルバム2009年にリリース、メンバーは当時タトゥイ音楽院の学生であった3人。かなり集中的にリハーサルをしたそうだ。Fabinhoは”学生”と自分に境界線をひかない。タトゥイ音楽院には在学中に彼から抜擢され世に出始める学生が沢山いる。この3人も今サンパウロで大活躍している。
(追記:Paulo Almeidaは2019年よりヨーロッパにて活動中)
Perfume de Cebola /Filó Machado と Giant Steps /John Coltrane以外は全て本人のオリジナル。
Fabinhoは作曲家としても数多くの作品を残している。興味深いのは、音楽院のアンサンブルの授業でもグループの編成に合わせてその場で作曲をしてしまうのである。管楽器4本であろうと、ギター3本にピアノがいても紙一枚使わずに3声、4声にして学生に一音ずつ音を伝えていくことができるのだ。
2曲目のVamo Toma Uma?は日本語にすると「一杯いく?」で、彼がよく言うフレーズである。ブラジル北東部レシフェ発祥のマラカトゥのリズムを5拍子にしている。エルメートもそうだが、メロディが素敵だと変拍子でもまったく違和感がない。
3曲目のCasa Velha、ベースとピアノのメロディラインが癖になる。Fabinhoのソロにブラジル音楽の有名な曲のメロディがでてくる。(←わかった人は凄い!)どうやらこのメロディが好きなようで、ライヴのソロ中に何度か耳にしたことがある。
4曲目のPerfume de Cebolaは軽快なサンバ。ドラムのPaulo Almeidaのグルーヴは絶品で、ドラムを学ぶ学生の間でも有名である。
7曲目のMarianaは彼の妻の名前で、彼女に捧げた曲。ちなみに彼女は前述のBrazú Quintêのピアニスト。
8曲目のGiant Stepsはちょっと異色な選曲にみえるが、アレンジは変拍子のサンバ。ファビーニョは複雑なキメを考えるのが大好き。
私的聴き所
"Guitarra Sanfonada" (6曲目)
実はこのCDの中でも一番注目してほしい作品。
題名のSanfonadaというのはアコーディオンのことで、Fabinhoはブラジル北東部発祥の音楽を演奏するアコーディオンのグルーヴを見事にエレキギターで表現している。
これまでに Hermeto Pascoal, Toninho Horta, André Marques, Arismar do Espírito Santo, Trio Correnteなど多数のミュージシャンと共演。最近はエレキギターと弦楽トリオにピアノという異色のキンテットBrazú Quintêでも活動中。
アルバム2009年にリリース、メンバーは当時タトゥイ音楽院の学生であった3人。かなり集中的にリハーサルをしたそうだ。Fabinhoは”学生”と自分に境界線をひかない。タトゥイ音楽院には在学中に彼から抜擢され世に出始める学生が沢山いる。この3人も今サンパウロで大活躍している。
(追記:Paulo Almeidaは2019年よりヨーロッパにて活動中)
Perfume de Cebola /Filó Machado と Giant Steps /John Coltrane以外は全て本人のオリジナル。
Fabinhoは作曲家としても数多くの作品を残している。興味深いのは、音楽院のアンサンブルの授業でもグループの編成に合わせてその場で作曲をしてしまうのである。管楽器4本であろうと、ギター3本にピアノがいても紙一枚使わずに3声、4声にして学生に一音ずつ音を伝えていくことができるのだ。
2曲目のVamo Toma Uma?は日本語にすると「一杯いく?」で、彼がよく言うフレーズである。ブラジル北東部レシフェ発祥のマラカトゥのリズムを5拍子にしている。エルメートもそうだが、メロディが素敵だと変拍子でもまったく違和感がない。
3曲目のCasa Velha、ベースとピアノのメロディラインが癖になる。Fabinhoのソロにブラジル音楽の有名な曲のメロディがでてくる。(←わかった人は凄い!)どうやらこのメロディが好きなようで、ライヴのソロ中に何度か耳にしたことがある。
4曲目のPerfume de Cebolaは軽快なサンバ。ドラムのPaulo Almeidaのグルーヴは絶品で、ドラムを学ぶ学生の間でも有名である。
7曲目のMarianaは彼の妻の名前で、彼女に捧げた曲。ちなみに彼女は前述のBrazú Quintêのピアニスト。
8曲目のGiant Stepsはちょっと異色な選曲にみえるが、アレンジは変拍子のサンバ。ファビーニョは複雑なキメを考えるのが大好き。
私的聴き所
"Guitarra Sanfonada" (6曲目)
実はこのCDの中でも一番注目してほしい作品。
題名のSanfonadaというのはアコーディオンのことで、Fabinhoはブラジル北東部発祥の音楽を演奏するアコーディオンのグルーヴを見事にエレキギターで表現している。
このようなブラジル音楽におけるリズムの特徴をエレキギターで再現できる人は本当に数少なく、この奏法を勉強したいと、ブラジル全土からレッスンの依頼があるようだ。
本人曰く、とにかくトラディショナルを聴きまくるのが大切だそう。
全体的にFabinhoのソロ作品というよりも、グループ作品と言っても良いぐらいメンバーの息がぴったり。Sescの番組に出た際の映像があり、CDとは違ったスピード感も楽しい。
Fabinhoを一言で表すと"Guitarra Brasileira" (ブラジルのエレキギター)。
正直、ブラジル音楽はガットギターのイメージが強くて、エレキギターはあまり好きじゃなかった…でも彼に出会って180°イメージが変わったのだ。
彼の演奏にはポルトガル語でlinguagemというものが存在する。
直訳すると"言葉遣い"。
ブラジル音楽は16音符を全部同じ長さ・強さで演奏してもグルーヴ感がでない。独特の訛りみたいなものがあって、それは楽譜では表せられないのだ。(私はそれを覚えたくてブラジルにいるのである…)
このアルバムはiTunesやSpotfly、Youtubeで全曲視聴可能。
2014年発刊のブラジル・インストルメンタル・ミュージック・ディスクガイドの中でも紹介されている。(冒頭の写真はファビーニョに本をプレゼントした際に撮影)
ブラジル音楽は16音符を全部同じ長さ・強さで演奏してもグルーヴ感がでない。独特の訛りみたいなものがあって、それは楽譜では表せられないのだ。(私はそれを覚えたくてブラジルにいるのである…)
このアルバムはiTunesやSpotfly、Youtubeで全曲視聴可能。
2014年発刊のブラジル・インストルメンタル・ミュージック・ディスクガイドの中でも紹介されている。(冒頭の写真はファビーニョに本をプレゼントした際に撮影)